
イギリスは、社会保障制度の先進国としても注目すべき国家であり、公共交通機関や都市の活動性に関しては、ショップモビリティなどについて高齢者や障害者を十分考慮して計画されているが、海洋性レクリエーション施設については、フランスと同様にバリアフリーはほとんど考慮されていないのが現状である。
7−1−5.デンマーク
デンマークの社会保障は、所得保障、医療保険、保健・医療サービス及び社会サービスの4分野からなりたっている。所得保障及び医療保険は国の事業として実施されているのに対し、保険・医療サービスは県が供給主体となっている。また、社会サービスは市町村のコミュニティによって担われており、公的扶助、高齢者サービス、保育サービスなどがボランティア制度によって運営されている。
デンマークの社会保障制度は、国民の高税高福祉システムによって支えられており、公共交通機関並びに公共施設のバリアフリー整備度合いは最先進国の一つである。この徹底さは、レクリエーション施設の整備においても十分発揮されている。勿論、海洋性レクリエーション拠点施設であるマリーナ、ビーチ、海辺の休暇村、水族館、各種スポーツ施設、ウォーターフロントの各種商業施設(レストランやショップ)等もバリアフリーの計画概念が徹底して配慮されている。このような施設において、最も注目すべき施設がドローニンゲン・フリューブ(Dronningens Feriby)である。
注)ドローニンゲン・フリューブ(Dronningens Feriby)は、デンマークにおける代表的障害者のための海辺の休暇村である。ドローニンゲンとはデンマーク女王の名前であり、フリューブとは休暇村という意味である。この施設は女王を代表発起人として、民間各社の寄付によって1990年に建設(費用:邦貨で約3.5億円)されたもので、ヨーロッパ障害者最優秀施設賞に輝いている。この施設は臨海の森林公園の中にあり、近隣にはキャンプ場、乗馬場、マリーナ、水族館、美術館、レストラン街、海水浴場、公園、遊戯施設が整備されている。
全体の施設構成は、管理及びコミュニティ・センター施設、34戸の独立住宅、5戸の集合住宅からなり、住宅ユニットとしては総計44戸となって
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